きもの探訪

須藤商店にて見学した「結城紬の工程」をご紹介

〜 主な3工程 〜

<糸つむぎ>

手と唾のみで糸をつむいでいくので、道具に巻き付けた真綿1枚(これで繭5個分)を糸にするのに、慣れている人でも2〜3時間かかる。一反分の糸量となると2〜3ヶ月にもなるのだとか。「糸をつむいでいる時にキューキューと音がするでしょ?この音がしないと一人前じゃないのよ。昔は女性の仕事が少なくて、自宅でお母さんが糸をつむいでいた家も多かったけど、この音がうるさくて眠れないってお父さんに文句言われたりね(笑)」


<絣くくり>

専用の方眼紙に描かれたデザインを元にして糸に印をつけ、その部分を糸でくくると、染め上げた時に色が染み込まずに結城紬の模様になる。「この絣糸は長さが約14mあるけど、そのままだと自分が動かなきゃならないんで、滑車の付いた機械を使ってます。糸をしばって口で引っぱるのに力が要るので、この作業はだいたい男性ですね」と、この道36年のベテラン職人。柄が細かくなると糸でしばる箇所も多くなる、まさに根気勝負の工程だ。


<地機(じばた)織り>

機に張るたて糸を腰当てに結びつけて織るのが特徴。たて糸をずっと張ったままの高機織りに対し、地機織りは筬(おさ)と刀杼(とうひ)でよこ糸を打ち込む時だけ足を突っ張ってたて糸を張るので、糸への負担が少ないと言われる。「全身を使っているので、見た目以上に肉体労働。はじめて織った日は、しゃがめないほど足が痛くなったのを覚えてます」

〜 番外編 〜

<八丁撚糸機(はっちょうねんしき)>

縮織りに使う糸を撚るための撚糸機。結城には、もう3台しか残っていないそうだ。結城縮は昭和の半ば頃には全体の8割以上の生産量を占めていたが、平織の急速な増加にともなって減少。この須藤商店で織ってもらったという希少な結城縮を、ちょうど撮影日にお召しになっていた奥澤さんは「単衣でも裾さばきが良いんです。縮特有のシボが本場結城紬のほっこりした風合いとは異なって、サラリとした着心地を楽しめますよ」

[プチ豆知識]

たて糸が太く、よこ糸が細い結城紬。
じつは他の産地の織り物は糸の太さが逆なのはご存じ?
よこ糸が細いと打ち込む回数も増え、それも結城紬が手間ひまかかると言われる所以のひとつだ。さらに無地などの場合、よこ糸が太いとボーダー状に見えたりするが、たて糸が太いとスッキリ見えの効果もあるという。


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